2016年9月26日 ·
午後は美ら地球代表の山田拓氏からお話しを伺った。山田氏は、諸外国を旅して、私たちには何でもない里山の暮らしは、日本でしか体験できない価値あるものであることに気付いたという。拓さんは「日本の里山とその暮らしは、持続可能な社会のモデルとなり得る、世界に誇れる日本の宝である」と述べた。この「ク-ルな田舎」を紹介し、ここに世界中の旅人が来るような仕組みをつくるために、美ら地球を立ち上げた。トリップアドバイザなどの口コミサイトでは、里山サイクリングの評判は高い。それは、ガイドの努力の成果であるが、里山の価値を分かってくれそうな人に参加してもらうなどの工夫をしているためでもあるという。
しかし問題も多い。若年層の都市部への流出、ライフスタイルの変化などにより、日本の里山とそこでの暮らしは年々衰退してきている。飛騨の匠の重厚で美しい飛騨民家に住み継ぐ人も減っている。このままいくと20年後には半数が消えてしまうかもしれないという。美ら地球は、若者が故郷で仕事を見つけるための支援、飛騨民家の素晴らしさを伝え、景観を保全するための活動なども行っている。
日本人が観光に使うお金は毎年2%の割合で減っている。現状はいわば外国人観光収入が日本の里山を守っているような状況であるという。しかし拓さんらは、日本の地方がクールな田舎として輝き始めると、そこに雇用が産まれ、そこに住みたいと思う人が増えてくるのではないかと考えている。外国人ツーリズムは、日本人に田舎のクールさを認識させる効果もあるだろう。地元の人が、自分たちの暮らしに誇りを持てる点でも素晴らしい。これからは出世やお金以外の価値を求める人が、地方社会で活躍するようになるのかもしれない。