イタリア製の立軸6射のベルトン水車(IREM)
2016年9月4日 ·
石徹白の久保田氏の案内で2つの水力発電設備と2つの水車を見学した。1000kW以下の場合、小規模水力発電に分類される。水路は明治時代に作られた農業用水路を利用している。電力は中部電力に売って収入を得ている。しかしながら近年の温暖化により、積雪が減り、川の水量が減っているため、発電量は通常の4割程度しかなかった。貯水型ではなく流れ込み型の水車だからである。水力発電の水車には3種類あるが、今回すべての種類を見学できた。
最初に見学した水車は、今年の6月に稼働したイタリア製の立軸6射のベルトン水車(IREM)である。有効落差は104m、流量は0.14m3/sである。ベルトン水車は衝動型の水車であり、100m以上の高落差に適する。ニードル弁で、流量調整しながら、噴射速度を上げてライナ(羽根車)に噴出する。流量調整装置がある高価な水車(2.4億円)である。事業主体は石徹白の農協であり、岐阜県が55%、郡上市が20%、石徹白の農協が25%(6000万円)出資している。村民1人あたりの出費は200万円にもなる。気になる発電効率は、エネルギ-保存則より
116[kW]=9.8[m/s2]×0.14×1000[kg/s]×104.5[m]×水車効率×モ-タ効率
を解くと、モ-タ効率が90%ならば、水車効率も90%になる。自動車の効率が20%以下であることを考えると、水力発電の効率は非常に高いことが分かる。典型的な年間発電量は610MWh/年であり、130世帯分の電力を賄える。得られた売電収入は、土地改良設備の維持費、発電施設の運営費、農業振興施設の電気代に使われている。