中嶋建造さんを訪問

levin2020
2018年10月2日

2016年8月4日 ·

NPO法人である土佐の森救援隊理事長、自伐型林業推進協議会理事長の中嶋建造さんを訪問し、地域に根差した自伐型林業についてお話しを伺った。日本では、林業従事者が減少し、森林が放置され、災害が頻発し、後継者も育たず、林業が崩壊寸前である。こうした状態になったのは、日本の森林行政が、森林組合による伐採事業と災害復興や砂防ダムの土木工事という対症療法を施すだけで、正しい森林管理を実施するという根本治療を施していないからであると、中嶋さんは訴えた。
日本は、森林が育ちやすい気候であり、国土の7割は森林である。日本は先進国のなかでフィンランドに次ぐ森林面積を有している。しかし日本は世界の輸出材の40%を輸入している。2位の韓国が7%である。日本の輸入先の50%は、米国、カナダ、オ-ストラリアなどの遠い国々である。林業関係者はドイツには100万人もいるのに、日本には5万人しかしない。2004年には台風により、九州では林業関係で90億、河川関係で80億の損害が出た。東日本大震災のあった2011年の8月には紀伊半島で土砂崩れが起き、100人近くが亡くなった。しかしながら森林は、私たちの生活から離れているので、私たちは日本の森に何が起こっているのか、よくわかっていない。自伐型林業は、自分の山林に小さな機械を導入して小さな作業道をつくり、森を育てながら持続的に間伐し、間伐材を低コストに運搬して収入を得る普通の林業である。よく知っている自分の山の自分の作った道で少量間伐するので、安全に作業ができる。中嶋さんは、大規模林業から小規模林業の集積に政策的に移行すれば、地域の森林を保全し、日本の山村に50万人の雇用を生み出せると述べた。
中嶋さんは、林業を通して地域の循環型経済を作りだす活動も行っている。これは、「土佐の森方式」と呼ばれ、間伐で得た収入をモリ券という地域商品券に変え、一緒にボランティアとして参加した人々に配り、その地域で消費させる仕組みである。モリ券の財源は材販売の収入と山林所有者や企業の協賛金と行政からの補助金で賄われている。具体的にはC材1トン当たり6000円で買い取られる。内訳は、間伐金3000円と残りは協賛金と補助金である。1トン取るのに6時間かかれば、時給1000円のボランティアになる。そのほか木質バイオマス利用、木材加工、森林観光、森林教育などの活動も行っている。

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