住まいの再興~伝統的日本家屋について
《4月24日(日)講座のまとめ・感想 住まいの再興~伝統的日本家屋について》
講座のまとめと感想を共有します。
皆さんもご感想をシェアしていただけると嬉しいです! 宍倉恵 2016.4.24
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山田さんに解説していただきながら日本民家園を見学した後、敷地内伝統工芸館にて座学という流れでした。
民家とは、本来風土に合わせてつくられるものであった。寒さの厳しいヨーロッパでは熱を逃がさぬよういわば「閉じた家」であるのに対し、日本民家は自然と家の中とがゆるやかに繋がった「開いた家」であった。縁側や土間という空間は壁がなく外と中の区別が曖昧で、かつ、働く場=モノを生産する場でもあった。保温・保冷効果のある土壁や、真壁構造によりむき出しの木の柱は、温度や湿度調整機能を果たしている。
総じて、日本民家は周辺環境を生かしてつくられた理にかなうものであった。雪深い地域を除く日本の比較的穏やかな気候ゆえ民家のこのようなスタイルが出来上がった。
家づくりはかつて、村の結(ゆい)単位の共同作業によるものであった。木・土・石といった地域で採れるものを集めてきたり、土を練ったりするのは村人のしごとで、大工しごとは職人が行う。また、ゴミという概念がなく、あらゆるものが資源であった。民家の木材は繰り返し使われ、建築材として使えなくなったら灰にして畑に撒いたり、屋根の茅や藁は牛や馬に与えたりすることが当たり前であった。
しかし現代の家に使われている新建材はリサイクルができず、産業廃棄物として処理される。建材による化学物質過敏症、シックハウスなどの健康被害も問題となっている。外と中のゆるやかな繋がりを持ち、自然の風や光を取りこむ役割も果たしていた縁側は無駄なものとして排除され、家=働く場でなくなったため、土間も不要になった。風土に沿わない断熱重視のヨーロッパ型の家が主流となっている。限られた土地に如何に効率よく、機能・デザイン性に優れた家を建てられるかということが重視されるようになった。
山田さんは、現代の安く・上手く・早い家に疑問を抱き、パーマカルチャーの考え方に基づいた「関係性のデザイン」を実践している。シェルターとしての家という機能だけでなく、環境とのハブとしての家づくり。その土地にある資源を最大限に生かし、分断された関係を再構築する。それは単なる箱づくりでなく、くらし・風土・気候に合わせた場づくりを目指しているということである。そこで建物そのものの超える価値が生みだされ、商品としての家から、住まいとしての価値を持つようになる。
プロジェクトの例として、畑付き・パッシブデザインのエコアパートや、住民が家づくりの企画から行うコーポラティブ方式での里山長屋、コレクティブハウジングという共同施設を用意し住民同士の交流の場をつくる暮らしなどを紹介していただいた。日常生活で共同体を維持する必然性がなくなった現代において、同じ想いをもった人同士が集まれる場をつくることで、健康的なコミュニティの形成も可能となる。
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【感想】
かつての日本の里山の住まいは、裏山から素材を集め、庭には果樹=食べ物が、家の中に働く場があり、それぞれの境界線は曖昧であった。自然と暮らしが繋がっていて、その中で循環していたのですね。
昨年いた岡山県の農山村にはそういった住まいの風景がかなり残っていたように思います。山から木を切り出し薪ストーブに、季節の果物が実り、冬は土間で漬物や味噌づくり、しめ縄で正月飾りをつくったり。内容は現代的になっているとは思いますが、季節に合わせた暮らし方はとても心地の良いものでした。(しかしそういった暮らしを実現できているのは大半が定年後のご年配の方でした。)
また、共同体の維持、という点について。農山村は、住まいと働く場が近いことが比較的多いように思います。勤めに出ている人もいるが、自営や地域の産業に携わる人が多い。生活圏と働く場が重なれば付き合う人も重なるので、共同体を維持する必然性が生じ、相互扶助の関係が成り立ちます。これは生きる上で大切なセーフティネットになるのでは、と思います。そういった意味で、住まいを通じて環境と、人と、繋がりながら暮らすことは、価値観が問い直されている現代で、求められることなのではないかと思います。
あらゆるものが大量生産・大量消費、企業のためのシステムとなっていることを改めて思い知ると同時に、関係性のデザインにより住まいづくりがひと・コミュニティに与える大きな可能性にわくわくする1日でした。日本民家の良さを生かしつつ現代の技術で快適さをプラスαしたお家に、いつか住んでみたいです、、!
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また長くなってしまいました。まとまってないですね、、(^_^;)
皆さんも感想お願い致します!