嘉門さんによる特別講座のまとめと感想

levin2020
2018年9月27日

宍倉 惠
2016年9月27日
≪9月22日(木) 特別講座 林業の未来~森林・林業の今と自伐型林業~ まとめと感想≫
嘉門さんによる特別講座のまとめと感想を共有致します。
皆さんも是非ご感想をお願いします!
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◎林野庁とはどんな組織なのか
森林・林業の復興をはかる組織。戦後復興からはじまり、現在は、林業の根本的な問題解決のために多様なアクターとともに環境や産業分野など多岐にわたる取り組みを行っている。
◎森林整備と補助金
補助金が支払われる事業の対象は2つ。
・公共事業:森林整備事業(★森林の整備・林道の設置)、治山事業
・非公共事業:人財育成、林業機械化、製材工場の設備整備など
★公共事業=健全な機能が発揮され、恩恵を国民に行き渡らせるため支援を行う。市場のみに任せておくものではない。
森林=個人の財産であると同時に、国・国民全体に広くその恩恵を行き渡らせるべきもの。
⇒従って、森林の整備は公共の事業として行われ、補助金が支払われる。≠大規模林業支援
<個人への努力義務を課し(権利と義務のバランス)、且つ、国の責務として「森林整備事業」として管理経費等支援。>
◎森林管理の担い手
「森林所有者」…権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者。
中山間地域の過疎・高齢化により、森林所有者による管理が困難になっている。(不在村者24%)
⇒「森林組合」…個人で管理困難な森林の委託を受けて、施業又は経営を行う、森林所有者の共同組織。
※補助は個人でも業者でも森林組合でも平等。が、生産量多い=手間多=標準単価高、という計算のもと、階段状に支援が増加するため、現段階の仕組みでは大規模事業への支援が多いのも事実。
⇒どこまでが「公共事業」でどこからが「営利目的の経済活動」なのか?上限制定すべきか?
◎間伐・主伐を考える
・間伐:樹木の混み具合に応じて育成する樹木の一部を間引きし、残存木の成長を促進する作業。主伐までの間に育成目的に応じて間断的に実施。
・主伐:次の世代の森林の造成を伴う森林の一部又は全部の伐採。
※循環的に森林を利用するため
①林業経営的にいつ間伐、主伐を行うのかが適当か
②環境的にどの程度の規模で行うのが適当か
バランスをとることがポイントでは?
★主伐について
・過度の伐採による公共的機能の低下の防止⇒伐採と造林の届け出の義務
※無届伐採・再造林の不履行などを把握しきれていない地域も?
※伐採→ブローカー通して土地売却 というルートで再造林されない土地もある?
★木材産業について
①国産材供給率50%が目標
②大規模製材工場の増加
⇒安定した木材供給が求められており、行政として相応の政策的誘導が必要。=大規模化
◎自伐林業について
・家族林業経営体に近い概念
※高知遠征参照
・林野庁として、森林組合とともに林業経営の主体として積極的に位置づけ。土地に人がいない→委託化
◎林業の根本的問題と解決のために
問題点
①所有者不明・境界不明の森林の増加
②小規模・零細な所有構造に起因する国産材の低い競争力
⇒関係者が立場を超え一丸となり解決すべき。
・林野行政が自伐林家を排除したのか?時代が排除し、委託型施業にせざるを得なかったのだろうか?
・国産材の競争力向上という課題
・大規模化による安定供給が自伐の小ロット生産を成り立たせているのでは?=相互に影響を与え合ってる存在では?
・森林組合vs自伐 という対立構造ではなく、地域の森林を地域で守るためにどうすべきか。技術向上のため協力すべきでは。
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◎質疑応答
以下、一部抜粋
・標準伐期=市場で流通しやすいという意味とも言える
・林野庁は意思決定機関(方針定める)?調整機関?
・大規模化は未来をもたらすのか?そもそも集成材やCLTが大量に使われる市場って、、?
・機械化した分の借金取り戻せるのか
・大規模な資本はどこに滞留するのか…機械メーカー・資本家
・長期での成長が必要な川上、短期で効果あげなくてはならない川下
★対立でなく良い技術を広めるべき
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【感想】
嘉門さんお話ありがとうございました!僭越ながらまとめを作成しましたので、何かございましたらご指摘くださいm(_ _)m
大きな流れを学ぶことができ、林業の全体像を眺めるため、非常に勉強になりました。
担い手がいない、しかし製材所の拡大により、従来の方法では間に合わない そして主伐が必要である。という、誰が誰を貶めようとしてるのではない、ジレンマを抱えた世界だと思いました。
質疑応答のときにも出ていましたが、何のために国産材を増やすのかーーということをもう一度考えるべきではないかと思いました。
「国内で国土を守るとともに資源と資金を循環させる」ということに重点が置き、ひとつの方向に向けて舵取できたら、現行の問題点を解決するために、様々な立場の人が協力できるのではないでしょうか。
高知遠征と今回の講義を聞いて、率直に、今は目指すべき具体的な場所が見えてこない?orバラバラだから、分かり合えない・建設的な議論ができないのでは?と思いました。
嘉門さんのおっしゃるとおり、良い技術を広めるために立場を超えて良い林業がつくられていけば良いなぁと思います!

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