林業の未来
宍倉 惠
2016年7月25日
《7月16日(土)〜7月18日(月) 林業の未来①②、まだ東京で消耗してるの?講座のまとめ・感想》
お待たせして申し訳ありません。
高知遠征、お疲れ様でした!
お天気に恵まれて良かったですね〜。
講座のまとめと感想を共有致します。
皆さん高知県を満喫できましたでしょうか?遠征のご感想、講座のご感想、是非コメントをお願いします!
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《1日目 林業の未来① in佐川町 〜NPO法人土佐の森 中嶋建造さま》
世界をリードする森林大国日本へ
〜そのカギは現行の大規模請負型林業に非ず 小規模分散型の自伐型林業にあり〜
◎日本は林業で発展すべき
・国土の7割は森林(中山間地域)+樹木の生育に恵まれた土地+先進国の技術=林業トップ国であってしかる
◎現行の林業と自伐型林業の比較
①主体
現行:山主/森林組合、素材生産業者
自伐:自伐型林業家
②経営方法
現行:所有/経営・施行の分離。請負型。
自伐:所有・経営・施行の一致。
③施行方法
現行:短伐期皆伐施行=植林後50年で皆伐→再造林 皆伐するごとに山を移動していく狩猟型。
自伐:長伐期択伐施行=他間伐を繰り返し、特定の面積の材積を増やし質を高める山守型。
④コスト
現行:高性能林業機械の購入・維持管理で高投資・高コスト。再造林に高コスト。
自伐:小規模機械で低コスト。長期で間伐し材積・材価ともに高まるため採算に合う。
⑤環境への影響
現行:高性能林業機械を入れるため幅3m以上の広い作業道が必要。1回きりの使い捨てゆえ施行が荒い。→土砂流出を招く。
自伐:持続性を重んじるため環境保全型。作業道は2.5m以下の土砂災害防止につながる造り。人間が山に張り付くことで里山での害獣被害が減る。
◎材価の低下の理由
需要の低下。合板集成材が多用されて原木価格が下がった。
◎自伐は地域再生のカギ
・中山間地域は土地の8割が森林。その資産を使い仕事を生み出すべき。
農業・観光+自伐型林業
副業として自伐型林業を始め、安定させる=土台作り。その後農業や観光で付加価値を追求。
・永続的森林経営は地域や集落のコミュニティ存続へと寄与。
◎自伐型林業=根本療法である。
自伐型林業は、山を荒らしたら仕事にならないので、必然的に環境保全型で持続可能な森林経営を追求することとなる。低投資・低コストのため参入も容易。里山の暮らしの存続にも寄与する。価値創造型。
※自伐「型」林業と自伐林家の違い
自伐林家=山の持ち主であるが、自伐型林業を行う人の中には新たに参入して来る人もいることがあり、必ずしも山の所有者であるとは限らない。しかし何れにしろ山守型であるので、スタイルは同じ。所有名義の違い。
《2日目 林業の未来② in四万十市 〜シマントモリモリ団 宮崎聖さま》
◎講義
・木工・木材業を主に、観光業+自伐型林業で生計を立てる。自伐型林業3年目。
ポイント:山=仕事場は家の近く。2人以上で作業する。
・四万十はヒノキが多い。
・使用する機材:軽トラ+チェーンソー+ユンボ+林業作業車
・まず最初に、幅2〜2.5m、高さ1.4m以下の大橋式作業道をつけた。
・業者による荒い作業道では土砂崩れが起きて、鮎や海老の生息環境が変わってしまう。
・2年目での収入191万円
◎山の見学
・山の入り口の洗い越し…川を軽トラで渡れるように整備する。低コストかつ橋を架けるよりも安全。
・作業道、機材の見学
《3日目 まだ東京で消耗してるの? in嶺北 本山町 〜イケダハヤトさま》
デジタルメディアで年収4000万円!今後リアルな土地も活用して事業始めます。やりたいことありすぎて忙しい日々を送ってます。田舎、めちゃくちゃ面白い。
◎デジタルメディアで月いくら稼いでる?
・広告系
企業広告:50〜60万円
アフィリエイト:100〜120万円
・コンテンツ系
電子書籍:20〜30万円
note:200〜500万円
→月収300万円以上、年収4000万円
◎なんで高知なの?
①飯が美味い
②飲酒費用全国No.1
→高知のお国柄が好き。
◎なんで田舎が良いの?
【東京】
人が多すぎる+流行を追う=やることが皆一緒。IT系のスキルと生活費縮小意欲あるなら東京で働く積極的理由ない。
【田舎】
足りないものが多い、やるべきことでやられていないものが多い。
→やりがいある面白いことができる!
◎嶺北ってどんなところ?
大豊町・本山町・大川村・土佐町の4町村をまとめて、嶺北エリア。四国の真ん中。移住者増加中。
【大人が本気で遊ぶまち】
面白い人が面白いことをやっている。
公園つくったり(極楽)、お祭りつくったり(さくら祭り)、ファンキーなカフェつくったり(ミシシッピ)、それぞれがmyワールドづくりしてる。
【嶺北エリア という連帯意識】
隣接町村でいがみ合いのようなものはなく、町村を越えて、嶺北というエリアで連帯意識がある。4町村で独立国家のような感じ。
(例)田舎暮らしネットワーク
◎田舎で暮らすにはどうしたら良い?
とにかく入り込む!行けばなんとかなる。「困ってます」フラグを立てれば助けてもらえる。
(例)えんたく君
ー本山町に移住した若者への人材投資を実施。「月10万あげるから、なんでもやっていいよ」で、NPO起業するなど、若者が育ち自立している。
(例)ブログ「自由になったサル」矢野さん
◎これから作りたいもの、やりたいこと
・製油、製粉施設
・クラフトビール
・どぶろく
・柿酢
・粉末化させて付加価値つける…田舎にあり活用されていないもの
・発酵モノ…発酵は錬金術である!
・コオロギの養殖
◎田舎で仕事をすることで、環境が良い→パフォーマンスがあがる。更に地域のためになる。などいいこと尽くし! 本気で「まだ東京で消耗してんの?」って思っている。
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【感想】
自伐型林業の山守型=持続可能な環境づくりというお話にすごく納得しました。持続的な循環を作り上げることが林業家の利益につながる、非常に合理的だと思います。現実的な生活するための手段であり、里山再生の希望を感じました。
岡山の農村に暮らしていたときに一番お世話になった、近所の80代のご夫婦は、自伐林業をされている方でした。旦那さんはもともと公務員で、退職されてから山へ入り始めたそうです。宮崎さんと同じ機械の4点セットを使い、作業道を敷き、先祖から受け継いできた山を孫の世代まで残せるよう、丁寧に間伐をされていました。搬出の際は、旦那さんがユンボに乗り、奥さんがワイヤーを木にかけ、2トントラックに積み込み、木材市場に出し、端材は隣町のバイオマス工場に卸していました。そしてその山で原木なめこの生産を行い道の駅に出荷もしていました。
80代と思えないほど元気なお二人は、「山の木の成長を見ることが生き甲斐」といつも仰っていました。わたしも何度も山に連れて行ってもらい、山と人の関係のあるべき姿を学ばせてもらいました。このお二人は、おそらく自伐型林業という言葉はご存知ないと思います。しかし、自然を畏怖し、生かし、生かされる関係を築こうと思えば、自然と自伐型林業のスタイルになるのだなと、今回の講義を受けて非常に納得しました。
腑に落ちない点…というかまだしっくり来ていない点は、誰にとっての「良い」森か、ということです。勉強不足ゆえ「良い森」の定義が私にはまだよくわかりません。良い木が採れれば良い森なのか、雑木の山はダメなのか、生き物にとって良い森と人間にとって良い森に違いはあるのか…。良い森の条件とは?
専門的な知識はありませんが、生き物にも人間にも、両者にとって良い森があるような気もしています。そのお互いが生きていけるような最大公約数の森を追求することが、持続可能な環境を作り上げること…なのかな?と現時点では思っています。
イケダさんのお話も、面白かったですね!本当に楽しそうに生きてるな〜〜と思いました(笑)楽しいことは何でもやろうぜ!という明快なスタンスで、勢いがあり、オモロイ人生の追求をされているなぁという印象でした。都市的な発想と農山村をミックスして、これからどんどん新しい風を吹き込んでゆく方なのだろうなと思いました。この方もまた、農山村の良さと、それを活かしご自身に返ってくるメリットをしっかりと計算されていらっしゃると思いました。イケハヤ村、どうなるのか、楽しみですね。
あ、あと褒め上手だな!と思いました。他の方がお話しされているときに「おもしろいね!」「すごい!いいねぇ!」としきりにおっしゃっていて、周りをやる気にさせる力も持っている方なのだな!と。今後ブログを拝読しようと思います〜笑
全体を通して、官民の協力体制はこれからもっともっと進められたら良いと思いました。「良い社会をつくりたい」そう思い、誰しもしごとをしているはずです(そうであってほしい)。だからこそ、今回、立場を越えてお話ができたことは、良かったのではないかと思います。
嘉門さん、お疲れ様でした!大変勉強になりました。多様な立場から考察し、柔軟に判断をされていらっしゃり、相手に的確に伝える力もお持ちで、すごいなぁといつも思っています。私も嘉門さんをお手本に、様々な角度から物事を見れるよう精進したいです!
そして高知県、我が道を行くという感じでかっこ良かったです。他県と一緒はイヤだ、ポジションとったる!という気合を感じました(笑)ご飯も美味しかったし。もっと開拓したいですね。
皆さんとご飯食べてわいわいできたのもすごく楽しかったです!就活の相談にものってくださった方、ありがとうございました(笑)これからの講座もより楽しみになりました!
※なんだかすごく写真が下手でした、ごめんなさい…。見返してびっくり。笑 マシなのを載せました(^_^;)