水田内を移動するスクミリンゴ貝(通称:ジャンボタニシ)
2016年8月17日 ·
ジャンボタニシは南アメリカのラプラタ川流域が原産である。1981年に食用の為、輸入されたが、在来のタニシに比べ、味が劣ることから、採算がとれず、養殖が中止された。放置され野生化したのが、西日本を中心に各地に広がった。農林水産省により有害動物に指定されている。ジャンボタニシは、田植え後3週間程度までの水稲の苗を食べる。逆に大食いの性質を利用すると、水田除草に利用できる。藤崎水田では稲の脇には少量のコナギが生えているが、ジャンボタニシが発生した水路付近の水田内には雑草が生えていない。水田から流出すると、周辺水田に影響を与える。放置すると腐臭やカラスが群がる原因になるので、注意が必要だ。
稲株に産み付けられたスクミリンゴ貝の卵塊
タニシは卵胎生であるが、ジャンボタニシは卵生である。日が暮れると、水中から上がってきて水面より上に卵を産み付ける。卵は、約2週間でふ化し、約2か月で2センチ以上の大きさになる。卵塊の鮮烈なピンク色は、鳥などの外敵から守る警戒色となっている。
ジャンボタニシは水深2センチ以下の浅水管理で活動できなくなる。熱帯性なので寒さには弱く、大きなジャンボタニシは冬期に死ぬが、小さなジャンボタニシは土中で越冬する。駆除するには、まず水路からの取り入れ口に網を設け、進入してくる貝を防ぐ。水田に入り一個ずつ採るより、水田の水際にスイカの皮、ナス、竹の子、青竹を置くと、貝がその周りに集まってくるため、網で一度に多くの貝を捕獲できるという。ふ化前の卵塊は、水中に落とせば、死滅する。