農山漁村の女性のキャリア

levin2020
2018年9月27日

宍倉 惠
2016年10月4日
≪9月25日(日) 農山漁村の女性のキャリアを考えよう 講座まとめと感想≫
講座のまとめと感想を共有致します。
今回動画撮影を行っていないため、参加がかなわなかった方へのフォローアップも兼ねて、補足や感想を共有していただけたらと思います!
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先生が用意してくださった、図や写真などたっぷりの素晴らしいレジュメを中心に、、
以下は補足としてお読みください。
講師:大和田順子さま
・百貨店・総合研究所・化粧品ブランド・環境コンサル等を経て2006年独立。
・2002年、LOHASを日本で紹介。各地の農山村で企業と地域をつなぎ、課題の解決を目指すCSVプロジェクトをデザイン。有機農業や生物多様性、再生可能エネルギーを活かした「持続可能な地域づくり」に情熱を注ぐ。
・世界農業遺産専門家会議委員
・東京都世田谷区在住。年間150日ほど地域に赴き、地域の人たちと地域づくりを推進。
・書籍多数。NHK地域づくりアーカイブス連載。
◎日本が直面している問題
農山漁村の過疎/環境/都市にて子供の貧困も。
→都市部では、切り離されたコミュニティや自然との「つながり」の回復が求められている。
→椎葉村に残る「つながり」
◎地方創生=持続可能な社会への転換
食・エネルギー・福祉の地域自給。里山コミュニティ経済・社会創出。
全国各地を訪ね、大和田先生が探していたもの。
→都市の生活では失われてしまっているものたち
→川の上流域を訪ね歩き、世界農業遺産そして椎葉村にたどり着く
◎世界農業遺産について ※農水省HP参照
世界36地域中日本は8地域の認定を受けている。「農業システム」として認証。
・「ほかの地域にはない」システム=他の取り組みに活用しやすい。≠同じ顔した地方都市(とりあえず駅前には巨大複合商業施設、のような)
◎世界農業遺産・大分県国東半島宇佐地域
雨が少ないのでため池を活用した稲作。クヌギ林の葉が落ち腐葉土に。原木しいたけ栽培。循環による生物多様性。
⇒農業遺産認定の波及効果
・シチトウイ(繊維)の商品開発
・地域の女性対象に食育→消費者への普及活動
・棚田再生・体験活動→地元の主役(地域活動に積極的取り組むリーダー的存在)の誕生
・着地型ツーリズムの発展
など、地域が見直され、多様な取り組みのきっかけとなる。都市化ではない発展の見込み。
◎世界農業遺産・宮崎県高千穂郷椎葉山地域 山間地農林業複合システム
サステイナブルな地域づくり。100年後につないでいく。
森林資源の保持とともに山間地の伝統農林業と地元民の強固な絆・「神楽」など日本の貴重な伝統文化の継承。
→地域資源を生かした複合型農林業=世界の山村振興のモデルとなりうる
・神話が残る山村地域
・諸塚村のモザイク林(針葉樹と広葉樹の混交林)、行政から独立した自治公民組織
・先人による500㎞に及ぶ手掘りの山腹水路の活用
・家族経営による複合農林業
・かてーり(相互扶助)の精神。困ったときはお互い様。
◎椎葉村の焼畑
・30年サイクルでの焼畑農業を継承している「焼畑蕎麦苦楽部(くらぶ)」。椎葉勝さんをはじめとした地元住民が主体となり、普及・商品開発に取り組む。
・30haのうち1回1haくらい。1年目:伐採と火入れ+蕎麦 2年目:稗 3年目:小豆 4年目:大豆 5~30年:回復期
・椎葉さんは+農家民宿+棚田で生計を立てる。
・地元の小学生の焼畑体験。交流施設も。
・焼畑蕎麦は通の間で人気。
◎地域の女性
注目すべきは
・地域おこし協力隊:モチベーション高い
・移住者:都会のキャリア・企業の感覚が生かせる
・嫁:特に定年後の60代=地域だとまだまだ若手で元気!何かしたいなあと思っている人。
ほかに子育て中、子育て後、と3タイプに分かれるので、ライフスタイルに合った協働を。
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【感想】
今回の講座では、女性のキャリアのみならず、大和田さんの取り組み全般、特に農業遺産・椎葉地域のお話をしていただきました。
地域を巡り巡った大和田さんがたどり着いた、椎葉村。古来より継承される循環システムと広まりつつある資源を活かした地域づくり、素晴らしいと思いました。
お話を聞いて、「世界農業遺産」「FSC認証」といった、外部から与えられる「お墨付きの証」は、認定されることがゴールではなく、その先にそれをどう活かし、どんな場をつくっていくのか、ということこそが大事なのだと思いました。農業遺産は、その地域独自のシステムが認められることにより、住民が地域に誇りを持ち、もっと良い地域をつくるために真剣に取り組むためのきっかけを与えることのできるものなのですね。
個人的には、山村に伝わる神話に興味があり、それが数多く残っている地域と聞くだけで、想像力がかきたてられ、わくわくします。
紹介されていた諸塚村と日之影町は、緑のふるさと協力隊の同期が派遣されていた地域でもあります。つい先日、その同期が関東から日之影町に移住し、わら細工の職人さんに弟子入りしたというホットな話題もあり、講座後に大和田先生と盛り上がりました(笑)まだ会っていないであろう彼のことを大和田先生がご存知だということは、地域の方がうれしくていろんな人に話しているのだろうなあと思います。やはり都市→小さな村への移住者は、注目の的なのですねぇ。
女性のキャリア、ということに関しては、大和田さんが「やりたい人がやればいい」と仰っていたことに私も同感でして、「女性だから○○すべき」は、私はあまり好きではありません。家庭や地域での役割分担や適正があるのは理解できるのですが、性別というより、その人の個性と関心と、それぞれの家庭や地域で合わせれば良いのかな、一番ええ具合の均衡点を探ればよいのかなあと思います。昨年度の農村暮らしで、いわゆる男仕事に、付いて回っていたこともあるからかもしれません。後ろに控える奥様方を横目に、おじさんに囲まれて育ち(?)、その頃から、ずっと考えていることではあるのですが、なかなかこれだ!と言えない自分がいます。
椎葉だけでなく、日本全国、伝統的暮らしを受け継ぐ面白い地域がきっとまだまだあるはずで、そういった地域に出会いたい、農山村巡りをしてみたいなぁと思いました。そしてそう思ってしまう自分はまだまだ好奇心で、広く浅く良いとこどりしたいんだなぁ、子どもやなぁと思います。大和田さんのようにスキルを持って農村のつながりを生み出せる方や、地に足つけて生きている人はめちゃくちゃかっこよい!!

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