山崩れが起こるのは、人間が杉やヒノキの挿し木を植えるから
2016年8月4日 ·
山崩れが起こるのは、人間が杉やヒノキの挿し木を植えるからである。挿し木は、親木から得た枝を田んぼに差して1~2年間、育てたものだ。挿し木はすべて、親木と同一の遺伝子を持つクロ-ンだから、同一の形状と品質にそろえることができる。今日では稲や野菜も同じようにF1品種で同一の優勢形質を持つように栽培されている。問題は、挿し木の根には主根がなく、横に浅く広がっているだけだ、ということだ。植林された杉の木の根の深さは樹高の1/10程度しかない。密植で林床に他の植物がなく、挿し木の根には保水力がないから、林床は常に乾燥している。大雨が降れば急に土が水を含んで重くなり、滑り面に大きな土圧がかかるために、崩壊する危険性が増す。大量の挿し木が急斜面に植えられている状態では、大雨が降ると、容易に山崩れが起こる。皆伐直後は木の根が残っているが、10年で根が腐り、土を抑える力が落ちてくる。挿し木が根を張るには20年かかるので、10年~20年後の時期が最も山が崩れやすい。伐採後の山に木を植える時は、特に急斜面や崩れやすいところには、実生で5年くらい育てた木を記念樹のように植えた方がよい。実生の木は、乾燥に強く、大木になるので、高値で売れる木材が得られるはずだ。所々にケヤキやクリなどの広葉樹やモミなどの針葉樹を植林するのもよさそうだ。小学校の机の板にこうした木の無垢材を使えば、木の良さが分かる子どもが育つのではないだろうか。