2016年9月26日 ·
午前中に(株)美ら地球(ちゅらぼし)の「飛騨里山サイクリング」に参加した。参加費は2時間半で4700円だ。宿の斜向かいのお店でおしゃれなマウンテンバイクを借りた。ガイドは30代の小川博久さん。写真を持って、大きな声でガイドしてくれるので分かりやすかった。冬は雪山のトレッキングガイドもやっている。飛騨古川は標高約500m、夏の気温は高いが、湿気がないため爽やかな風や木陰が心地良いので、サイクリングに向いている。
この自転車ツア-のコンセプトは「飛騨の人々のありのままの暮らしを旅する」ことだ。2010年に始まったこのツア-は、英語を話せるガイドと一緒に日本の原風景が残る里山を見学できるということで、外国人観光客に人気が高い。今年は3000人あまりの参加者があったが、その7割が外国人だという。ガイドさんたちは飛騨に住んでおり、コース付近の人たちとも顔見知りだ。
実際に庭先で農作業している女性から、冷えたミニトマトやキュウリをもらって、その場で食べた。これはこのツア-自体が土地の人に愛されている証拠だ。参加者は、飛騨の暮らしを学び、人々との交流を通して、また訪れてみたいと思う。単に見学する観光ではリピ-タを増やすのは難しい。
この季節は稲が実っており、田園風景は素晴らしい。飛騨は寒暖差が大きいので、美味しい米が栽培できる。四方を山で囲まれた飛騨古川は、外地に出荷するほどの量の米はとれないので、酒米以外は基本的に、米は地産地消である。水田は小ぶりで、自分たちが食べる米なので、手間をかけ農薬をかなり減らして栽培している。そういう土地柄も魅力的だ。
飛騨牛の繁殖農家にも立ち寄った。生まれたての子牛はまつ毛が長くて可愛いらしい。しかし2010年の口蹄疫の大発生以来、日本では牛の繁殖農家が急速に減っている。国産のブランド牛肉の値段は相当高くなると予想される。牛が食べる干し草は、ここでは賄いきれず、ニュ-ジ-ランドなどから輸入しているそうだ。
休憩はおいしくて冷たい湧水のある丘の上でとった。民家の屋根は、雪の重みを考慮して、軽いトタンでできていた。想像できないが、冬の飛騨は完全な雪景色になる。それでも小川さんは、「日本人には四季を感じながら生きる幸せがある」と話していた。
コ-スは平坦で車も少ないが、ガイドは参加者の安全にも気を配らなくてはならない。先頭を走る小川さんは、後ろの参加者を変えながら、いつも会話をしていた。通常の観光ガイドは、歴史的建造物の説明をするだけだが、美ら地球のガイドは、参加者と話し、お祭りの様子や見えない人々の暮らしまで写真などを使いながら紹介するので、かなり大変な仕事だと思った。