便利なことは必ずしもいいことではない

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

近所にはアスレチック、ラフティング、キャンプなどのアウトドア活動の施設が作られてきている。観光業の活性化により、移住者が増えることを期待している。しかしそれだけでは、遊びに来るだけなので、移住にまでは至らないだろう。毎年、居住人口の2%の人が外部から移住してくれば、集落が存続するという研究報告を聞いたことがある。石徹白の場合、毎年6人、つまり毎年2世帯が移住してくれば存続できることになる。水力発電で作りだした電気は、村では使わないで、中部電力に売ってしまっている。小水力といえども初期投資の負担は大きい。しかしこうした活動によって地域の存続の意思を示せば、多くの人が石徹白に興味や関心を持つようになり、村が存続できる可能性が出てくる。実際、今では村民の1割を移住者が占めるようになったという。

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イタリア製の立軸6射のベルトン水車(IREM)

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

石徹白の久保田氏の案内で2つの水力発電設備と2つの水車を見学した。1000kW以下の場合、小規模水力発電に分類される。水路は明治時代に作られた農業用水路を利用している。電力は中部電力に売って収入を得ている。しかしながら近年の温暖化により、積雪が減り、川の水量が減っているため、発電量は通常の4割程度しかなかった。貯水型ではなく流れ込み型の水車だからである。水力発電の水車には3種類あるが、今回すべての種類を見学できた。
最初に見学した水車は、今年の6月に稼働したイタリア製の立軸6射のベルトン水車(IREM)である。有効落差は104m、流量は0.14m3/sである。ベルトン水車は衝動型の水車であり、100m以上の高落差に適する。ニードル弁で、流量調整しながら、噴射速度を上げてライナ(羽根車)に噴出する。流量調整装置がある高価な水車(2.4億円)である。事業主体は石徹白の農協であり、岐阜県が55%、郡上市が20%、石徹白の農協が25%(6000万円)出資している。村民1人あたりの出費は200万円にもなる。気になる発電効率は、エネルギ-保存則より
116[kW]=9.8[m/s2]×0.14×1000[kg/s]×104.5[m]×水車効率×モ-タ効率
を解くと、モ-タ効率が90%ならば、水車効率も90%になる。自動車の効率が20%以下であることを考えると、水力発電の効率は非常に高いことが分かる。典型的な年間発電量は610MWh/年であり、130世帯分の電力を賄える。得られた売電収入は、土地改良設備の維持費、発電施設の運営費、農業振興施設の電気代に使われている。

石徹白の横軸フランシス水車(HF-1RS)

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

次に見学したのは2014年に稼働した国産(田中水力)の横軸フランシス水車(HF-1RS)である。設備費用と出資は先ほどと同じであるが、事業主体は岐阜県である。フランシス水車は、標準的な反動型の水車であり、落差は10m~100mで0.3m3/s以上の高流量用の水車である。水流の方向がライナで直角に変えられる時の反動でライナが回転するため、水圧と速度の積が効いてくる。
69[kW]=9.8[m/s2]×0.19×1000[kg/s]×44.4[m]×水車効率×モ-タ効率
を解くと、モ-タ効率が90%ならば、水車効率は85%になる。水車内部が見えないので、内部のライナ構造を展示してあると良かった。
水力と太陽光発電とどちらが有利なのだろうか?出力125kWのシステムは、太陽光発電だと3400万円くらいする。水力は24時間だが、太陽光発電は一日8時間しか発電できない。パネルの寿命は30年である。山間の村では日照時間が短いかもしれない。冬季は太陽光パネルに積もった雪を払う手間がかかる。水車の寿命を60年とすると、太陽光の6倍発電できる。総発電量で比較すると、石徹白(いとしろ)では雪を払う人件費の分だけ、水力発電の方が有利になるのかもしれない。元を取るまでは、石徹白は存続させるという決意が表れている。

上掛け水車は地方創生のシンボル

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

上掛け水車は、水の重さで回るので、重力型の水車と言われている。25V×14A=350Wの出力で500Wの照明の電源にしていた。アルキメデス風のらせん型水車は800Wで充電制御装置がついていた。過熱防止のための放熱抵抗がついていた。こうした水車は回っているところが見えるので、見ていて楽しい。上掛け水車は地方創生のシンボルになっている。

白山中居神社にお参り

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

平野家のお子さんたちと一緒に立派な杉林の中にある白山中居神社に参拝した。杉の大木がそびえ立つ、立派な自然石の石段を登っていった。上には縄文時代から信仰されているという苔生した岩があった。馨生里さんは兵児帯(へこおび)で下のお子さんをおんぶしていた。兵児帯おんぶは高いので、赤ちゃんが肩越しに母親のしていることを見ることができるのが素晴らしい。

石徹白のカフェでランチ

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

石徹白の女性有志で運営されている「くくりひめカフェ」で地元の旬の食材を使ったランチを食べた。ランチの盛り付けは洗練されており、天ぷらは甘みがあって、美味しい塩と相性が良かった。ナスや川魚や豆腐も美味しかった。カフェは地域の集会所も兼ねている。入口では地元の野菜が安価に販売されていた。

石徹白の洋装店を見学

levin2020
2018年10月11日

2016年9月4日 ·

最後に洋品店の2階に上り、馨生里さんが仕立てた伝統的な農作業着を見学した。入口に飾ってあった藍染めの暖簾は、伝統的な家屋ととてもよく調和しており、美しかった。「石徹白たつけ」は股のマチが広い農作業用ズボンである。四角い布から無駄なく取れる。彰秀さんは、「これに慣れると他のズボンが穿けなくなる」と言っていた。農作業をする人は興味深く見ていた。作業服は毎日着るものだから、この値段は決して高くはないのかもしれない。外に出て、庭に広げたシ-トの上で藍(あい)の葉を木の棒で叩いて潰す作業を見学していたら、足元に猫のルンタがすり寄ってきた。動物が飼えることもいいことだ。そこにあるものを使って暮らすことが、人間にも環境にも一番よい。そういう暮らしができる石徹白はいいところだ。

高知の路面電車

levin2020
2018年10月11日

土佐電鉄は1969年から路面電車の全面広告を始めた。高知では1990年に世界の電車を運行する計画が開始された。週末や祝日には、ドイツやポルトガルなどの外国の路面電車が運行されている。路面電車の運賃は約200円で、土佐電の年収入は4億円程度。ちなみに一位の広島電鉄の路面電車の年収入は40億円にもなる。路面電車は、都市の交通量と排気ガス汚染を低減し、街での買い物をしやすくする効果があるので、世界的に見直されている。美しい7型は2009年に導入されたICカード乗車券に対応できず定期運用を休止した。2016.8.23

 

鳥井先生の不耕起水田

levin2020
2018年10月11日

千葉県香取郡多古町の桜宮自然公園内にある不耕起水田
鳥井先生が管理している広さ半反の10年間耕していない本格的な不耕起水田。但し冬季は不連続湛水。不耕起田んぼの土は割合しっかりしていた。去年の稲の切り株は、表泥の中にあって見えない。水田には蛍のエサとなるモノアラガイの他、タニシやメダカがいた。泥の中には、小さなザリガニが多くいた。
この奥行き500メートルほどの谷津田は20年程前に産業廃棄物の中間処理場にされるところであったが、鳥井先生他、住民らの反対で自然公園になった。「多古」の由来は、かつてこの地に多くの湖があったからだという。湖の残した肥沃な土壌からは、質の高い農作物が収穫できる。 2016.8.18

myベランダ田んぼの稲

levin2020
2018年10月11日

密植のために分げつは少ないが、茎は太い。牛久の不耕起田んぼの土と液体化学肥料で栽培した。茎が穂をはらんでいる様子が見える。